ママパパ、自分のハナシ

多忙な親のための「義務感」セルフケアからの脱却：自分を本当に満たす方法

子育てに仕事に、毎日休む間もなく頑張っていらっしゃる共働き世代の皆様、本当にお疲れ様です。時間はいくらあっても足りないように感じられ、自分のことはいつも後回しになってしまいがちです。

少しでも心身のバランスを保とうと、メディアや専門家が推奨するセルフケアを試みようとされていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、「これもやらなきゃ」「あれも取り入れなきゃ」と、いつの間にかセルフケア自体がもう一つの「やることリスト」になり、義務のように感じて疲れてしまうことはないでしょうか。

もしセルフケアが負担に感じられているとしたら、それは本来の目的から少しずれてしまっているサインかもしれません。セルフケアは、自分を縛るものではなく、自分を解き放ち、心身を回復させるための時間であるはずです。

この記事では、多忙な親がセルフケアを義務のように感じてしまう理由を探りながら、それを心から自分を満たす「喜び」の時間に変えるための意識転換と、多忙な日常でも無理なく実践できる具体的なヒントをご紹介いたします。

セルフケアが「義務」になってしまうのはなぜでしょうか

多忙な親御さんがセルフケアを義務のように感じてしまう背景には、いくつかの要因が考えられます。

まず、「完璧主義」の傾向です。「〇〇すべき」「△△でなければならない」といった内なる声や、外部からの情報に影響され、「理想のセルフケア」像を追い求めてしまい、それが負担になることがあります。

次に、「時間がない」という現実です。限られた時間の中で、推奨される様々なケアをこなそうとすると、どうしても時間に追われる感覚になり、義務感に繋がってしまいます。

さらに、セルフケアの目的を「疲れを取る」「効率を上げる」といった効果や結果に置きすぎている場合も、成果が出ないことへの焦りや、目的達成のためのタスクという側面が強くなり、義務的に感じやすくなります。

しかし、セルフケアの本質は、何かの目的を達成するための手段であると同時に、自分自身に優しく寄り添い、存在そのものを肯定する時間でもあります。

セルフケアを「義務」から「喜び」へ変える意識転換

セルフケアを義務ではなく、自分を満たす喜びの時間にするためには、いくつかの意識転換が有効です。

1. 「ねばならない」を手放す勇気を持つこと

「朝は〇時に起きて瞑想しなければ」「毎日△△を食べるべきだ」といった、「ねばならない」思考から一歩距離を置いてみましょう。情報として得た理想形に縛られる必要はありません。今の自分の状況、心身の状態に合った形で、できることを選択することが大切です。

2. 「他人との比較」から離れること

SNSや周囲の人の「完璧に見える」セルフケア習慣と自分を比較して、落ち込んだり焦りを感じたりする必要はありません。他者との比較は、自分自身の価値や取り組みを過小評価することに繋がりかねません。大切なのは、他の誰かではなく、過去の自分と比べて少しでも心穏やかに過ごせているか、自分にとって心地よい選択ができているか、という視点です。

3. セルフケアの目的を再定義すること

セルフケアの目的を、「義務を果たすこと」ではなく、「自分を満たすこと」「自分自身への贈り物」「心地よさを感じること」といった、よりポジティブで内発的なものに置き換えてみましょう。例えば、「読書をする」というセルフケアの目的を、「知識を得るため」だけでなく、「物語の世界に没頭して日常を忘れるため」「心地よい静寂の中でリラックスするため」と捉え直すことで、その行為がより喜びを伴うものに変わります。

4. 小さな「好き」をセルフケアの出発点にすること

「これをやるべき」という情報先行ではなく、まず自分の「好き」や「心地よい」と感じることを見つけることから始めましょう。好きな音楽を聴く、お気に入りの香りを焚く、美味しいお茶をゆっくり飲む、手触りの良いタオルを使うなど、ほんの小さなことでも構いません。自分の感覚が喜ぶことから始めることで、セルフケアが義務ではなく、自然とやりたくなる行為へと変化していきます。

多忙な中でも実践できる「喜び」としてのセルフケアのヒント

意識を変えることに加えて、多忙な日常の中でも無理なく取り入れられる具体的なアイデアをいくつかご紹介します。これらはあくまでヒントであり、すべてを試す必要はありません。今の自分が「これならできそう」「ちょっと楽しそう」と思えるものを選んでみてください。

• 「小さな心地よさ」コレクションを作る: 自分が「心地よい」と感じる瞬間や行為をリストアップしてみましょう。例えば、「温かいシャワーを浴びる」「好きな香りのハンドクリームを使う」「ふわふわのブランケットに包まる」「お気に入りのマグカップで飲む」などです。これらの小さな心地よさを意識的に日常に取り入れるだけで、セルフケアへの感覚が変わってきます。

• 5分間の「好き」時間を作る: 「まとまった時間がない」という方でも、5分なら捻出できるかもしれません。この5分間を、完全に自分の「好き」だけのために使います。SNSを見るのではなく、本当に自分が心からリフレッシュできること、例えば好きな音楽を聴きながら目を閉じる、お気に入りのアロマを香らせる、窓の外の景色をぼーっと眺める、軽いストレッチをするなど。タイマーをセットして、終わったらすぐに日常に戻るメリハリも大切です。

• 「やらないこと」を意図的に決める: セルフケアは「何かを足す」ことだけではありません。「やらないこと」を決めることも重要なセルフケアです。「今日の夕食はテイクアウトにする」「明日の朝食は簡単なものにする」「見たくないSNSの投稿は見ない」「完璧な掃除は諦める」など、自分の心身の負担を減らすための「やらないこと」リストを作り、意図的に実行することで、心の余裕を生み出せます。

• 自分への優しい言葉をかける: 一日を振り返り、できたことや頑張ったことを認め、自分自身に感謝の言葉をかけてみましょう。完璧にできなかったことに対しては、「今日は難しかったね、明日また考えよう」と、自分を責めるのではなく、友人に語りかけるような優しいトーンで話しかけてみてください。自己否定ではなく、自己肯定の言葉を選ぶことが、セルフケアの心地よさに繋がります。

• セルフケアの「記録」ではなく「感覚」をメモする: 「今日はこれをやった」という記録ではなく、「このセルフケアをしたとき、どんな気分になったか」「何が心地よかったか」といった自分の感覚を簡単にメモしてみましょう。手帳の端やスマートフォンのメモ機能で構いません。「〇〇したら、少し心が軽くなった」「△△の香りを嗅いだら、ホッとした」といった、ポジティブな感覚の記録は、「次はこんな心地よさを味わいたい」という内発的なモチベーションに繋がります。

継続するためのヒント

セルフケアを義務ではなく喜びとして継続するためには、無理のない範囲で習慣化していく工夫も有効です。

• 予定に組み込む: 短時間でも良いので、「自分時間」としてスケジュールに入れてしまうのが効果的です。
• パートナーと共有する: セルフケアの時間を確保するために、パートナーと協力体制を築くことも大切です。お互いのセルフケア時間を尊重し合いましょう。
• 完璧を求めない: 毎日できなくても、計画通りに進まなくても大丈夫です。自分を責めず、「今日はできなかったけれど、明日は少しでもやってみようかな」と柔軟に考えることが重要です。

最後に

多忙な毎日の中で、ご自身の心と体を労わる時間は、決して贅沢なことではありません。それは、親として、そして一人の人間として、健やかに日々を過ごし、大切な家族との時間をより豊かなものにするための、必要不可欠な時間です。

セルフケアがもし「義務」のように感じられることがあるとしたら、それは立ち止まって、ご自身の心に耳を澄ませる良い機会です。「本当にやりたいことは何だろう？」「どんな時に心地よさを感じるだろう？」と問いかけ、自分を満たす「喜び」としてのセルフケアを再発見していただければ幸いです。

この記事でご紹介したヒントが、頑張る皆様の心に、ほんの少しでも温かい光を灯すことができれば嬉しく思います。皆様がご自身の心身を大切にし、毎日の中にささやかな喜びを見つけられるよう、心から応援しております。