多忙な親のための「やったことリスト」活用術:達成感を積み重ねるセルフケア
日々のタスクに追われる中で、達成感を感じていますか?
子育てに仕事、家事に追われる日々は、まさに時間との戦いです。次から次へと発生するタスクをこなし、一日が終わる頃にはへとへと。今日一日何をしたか、ゆっくり振り返る時間もなく、「また一日が終わっただけ」と感じてしまうこともあるかもしれません。やってもやっても終わりが見えないと感じたり、達成感を得られなかったりすることは、多忙な親御さんが抱えがちな課題の一つです。
しかし、こうした状況が続くと、「自分は何もできていないのではないか」「頑張っても報われない」といったネガティブな感情につながり、自己肯定感が低下してしまう可能性があります。日々の小さな達成感を積み重ねることは、疲弊しがちな心に活力を与え、前向きな気持ちを維持するために非常に重要です。
今回は、多忙な親御さんのためのセルフケアとして、「やったことリスト」の活用に焦点を当てます。「できたこと」に意識を向けることで、日々の頑張りを正当に評価し、自己肯定感を育むヒントをお伝えします。
セルフケアとしての「やったことリスト」の力
多くの方が、今日やるべきことを書き出す「To Doリスト」を活用されていると思います。これはタスク管理には非常に有効ですが、終わらなかったタスクが残ると、かえってプレッシャーや罪悪感につながることもあります。
一方、「やったことリスト」は、文字通り「今日できたこと」を書き出すリストです。一日の終わりに、あるいは休憩時間などに、自分がその日に取り組んだこと、完了したこと、努力したことを振り返り、記録します。
この行為がなぜセルフケアになるのでしょうか。
- 「できた」に焦点を当てる: 私たちは無意識のうちに、できなかったことや改善点に目が行きがちです。「やったことリスト」は意識的に「できたこと」に焦点を当てることで、ネガティブな思考パターンから抜け出す手助けとなります。
- 達成感を味わう: 小さなことでも書き出すことで、「これだけできた!」という事実を視覚的に確認できます。これにより、具体的な達成感を得られ、満足感や充実感につながります。
- 自己肯定感を高める: 日々の頑張りが「見える化」されることで、自分自身の努力や能力を正当に評価できるようになります。「自分はちゃんとやっている」「無駄な一日ではなかった」と感じることは、自己肯定感を育む上で非常に大切です。
- 前向きな気持ちを養う: 達成感はポジティブな感情を生み出し、次の日への活力となります。疲れていても、「今日はこれだけ頑張ったから大丈夫」と自分を労う気持ちが生まれやすくなります。
多忙な親のための「やったことリスト」活用法
では、実際に多忙な日々の中で「やったことリスト」をどのように取り入れたら良いのか、具体的な方法をご紹介します。
いつ書くか:短い時間を見つける
一日の終わりに数分間、静かな時間を見つけて書くのが理想的ですが、難しければ、通勤中、お昼休憩の終わり、子供が寝た後など、短いスキマ時間を活用しましょう。書き出すこと自体に時間はかかりません。
何を書くか:大小問わず「できたこと」すべて
リストに書くことは、仕事の大きな成果や家事の完了だけではありません。どんなに小さなことでも、その日に自分が行動したり、努力したりしたことを全て書き出してみましょう。
- 育児関連: 子供を寝かしつけた、絵本を一冊読んだ、オムツを替えた、一緒に歌を歌った、笑顔で接した、など
- 仕事関連: メールを返信した、一つタスクを完了した、会議に参加した、新しい知識を学んだ、など
- 家事関連: 夕食を作った、洗濯機を回した、部屋を片付けた、買い物に行った、ゴミを出した、など
- 自身のケア関連: 顔を洗った、着替えた、歯を磨いた、水を飲んだ、休息を取った、息抜きをした、など
- その他: 誰かに優しくした、新しいことを試した、諦めずに続けた、など
「朝起きた」「会社に行った」「子供にご飯を食べさせた」など、当たり前と思えることでも構いません。多忙な中でそれらをこなしていること自体が素晴らしいのです。
どう書くか:具体的に、肯定的に
箇条書きで簡潔に書くのがおすすめです。「〇〇を完了した」「△△に取り組んだ」「□□ができた」のように、完了形や肯定的な言葉で書きましょう。
例: * プレゼン資料の〇ページを作成しました * 子供と公園で30分遊びました * 夕食に野菜たっぷりスープを作りました * 疲れたので10分横になりました * 今日のネガティブな感情をノートに書き出しました
「~しようとしたけどうまくいかなかった」ではなく、「~しようと試みた」のように、行動した事実を書き留めることが大切です。
視覚化の効果:ノートやアプリを活用
手書きのノートに書き出すのは、達成感を感じやすいシンプルな方法です。毎日同じノートに書けば、積み重ねてきた努力が形として見えます。スマートフォンのメモアプリや専用の習慣化アプリなどを活用するのも良いでしょう。ツールは何でも構いません。大切なのは、書く習慣を続けることです。
「やったことリスト」をセルフケアとして継続するためのヒント
「やったことリスト」を一時的なものでなく、セルフケア習慣として根付かせるために、以下の点を試してみてください。
- 完璧を目指さない: 毎日書けなくても、数日分まとめて書く日があっても大丈夫です。完璧を目指すのではなく、「続けること」に価値を置きましょう。
- 書く時間と場所を決める: 習慣化のためには、「いつ」「どこで」やるかを具体的に決めておくとスムーズです。
- 誰かに話してみる: パートナーや信頼できる友人に、今日「できたこと」を話してみるのも良い方法です。自分の頑張りを認められる感覚が得られます。
- 過去のリストを見返す: 落ち込んだり自信をなくしたりした時に、これまでに書いたリストを見返してみましょう。自分がどれだけ多くのことを乗り越え、成し遂げてきたかを再認識できます。
まとめ:日々の頑張りを、自分自身が一番に認めること
多忙な親御さんは、常に目の前の多くのことに対応し、奮闘しています。その頑張りは、家族のため、仕事のためでもありますが、まず何よりも、あなた自身の素晴らしい力によるものです。
「やったことリスト」は、その日々の努力を「なかったこと」にせず、一つ一つ拾い上げて、自分自身が「よく頑張ったね」と認めてあげるためのツールです。義務としてではなく、自分自身を労り、心を軽くするためのセルフケアとして、ぜひ「やったことリスト」を取り入れてみてください。
小さな「できた」の積み重ねが、きっとあなたの心の健康と、自分を肯定する力につながっていくはずです。日々の頑張りを、自分自身が一番に評価し、慈しんでいきましょう。